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続・Blenderでさらに綺麗な分子模型を作ろう!

  • 執筆者の写真: guan satai
    guan satai
  • 2021年12月28日
  • 読了時間: 5分

 これまで2本の記事を通して、Chem3Dなどを利用したpdbファイルの作成方法、pdbファイルのBlenderへの読み込ませ方が理解できたかと思います(まだ読んでいない方は是非読んでください)。これだけでも十分綺麗なのですが、やっぱりわざわざBlenderという外部ソフトで読み込ませたのだから、もっともっときれいにしたいというのが人情ではないでしょうか?実はそれを叶える機能もちゃんとBlenderには備わっています!今回はそれを学んでいきましょう。

 では具体的には何をするのでしょうか?AtomicBlenderではマテリアルの表面はChem3Dと同じようなプラスチック様の見た目をしていました。しかし、場合によってはもう少しテカらせたいだとかガラスチックにしたい、金属の見た目にしたい、さらには光らせたいなどという様々な要求があることでしょう。実際、ただのプラスチックの外見ではつまらないです。今回は見た目を変える方法について学んでいきます。

 まずはBlenderの機能について確認していきましょう。Blenderでは物体を追加して形を整えた後、右のプロパティ設定欄にある「マテリアルプロパティ」からマテリアルの設定を行うことで見た目を変えることができます。「マテリアルプロパティ」を開いて「新規」のボタンをクリックするとプリセットの設定が反映されます。この時点では何も変化していないように見えますが、右上のxyzの座標軸の2つ上の欄にビューポートの設定、すなわち画面にどこまでの情報を書き加えるかの設定欄があります。最初は左から2番目のところになっていると思うので、その右隣を選択してください。すると少し色が変わったと思います。これはレンダーにかける際の色、つまり、実際に画像として出力する際の色と同じ色を表示するモードです。

 では再びマテリアルプロパティに戻って、今度はベースカラーを編集してみましょう。ベースカラーと書いてある欄の色がついている部分をクリックすると色の編集画面に移ります。ここで適当な色(画像では16進数E7A23C)に変化させましょう。





 色の他のパラメータをいじることで目的のマテリアルに見た目を近づけていくわけですが、如何せん私は化学屋であってモデラーでもなければCG屋でもないので、マテリアルを設定する手間は惜しみたいのです。ここで便利なのはPBR MaterialsおよびBlender3.0から実装されたMaterial Libraryです。これらは各マテリアルを表現するために必要なプロパティの設定を自動で行ってくれるものです。それぞれ標準機能ではなくアドオンなので、使い方はご自分で調べてください(間違うとひょっとするとバグの原因になるかもしれないので、私のうろ覚えよりも専門家の正しいやり方を見てください)。うまいこと実装できますと、マテリアルプロパティ内を下にスクロールしていくとPBR MaterialsやMaterial Libraryと書かれたタブが現れます。PBR Materialsを使用する場合、そのタブのチェックボタンにチェックを入れ、タブを開き、DielecricもしくはMetalを切り替え、下のよく分からん球体が表示されている画面をクリックして目的のマテリアルを選択しましょう。すると色や質感が大幅に変化します(画像ではGoldを選択しました)。PBR MaterialsでMetalを選択した場合、金属の色はいいのですが金属光沢は標準で設定されていませんので、色を変更した欄の下の方にあるメタリックという設定欄(標準では0になっている)を0.9くらいに上げておいてください。それからレンダーをすると目的の金属感のあるオブジェクトに早変わりです。


 Material Libraryでは、タブを開くと左側のSelect a Libraryのタブをクリックして選択します。何もしていなければSample Materialsにしかデータが入っていないので、まずはそれを開いてください。いくつものマテリアルの名前が並んでいると思うので、その中から好きなものを選択(画像ではCeramic Polishedを選択しました)して、右側のApply to Selectedを押してください。そうして再びレンダーを行うと目的の画像が得られます。

ではこれをこれまで作ってきた分子模型に適用していきましょう。…と言いたいところですが、実は簡単ではありません。前述と同じようにやっても何も変わらないのです。これがAtomicBlenderの嫌なところで、このアドオンを通して導入したオブジェクトは、拡大や移動、回転などといった単純な機能であればそのまま適用できますが、小難しい編集ができないようになっています。マテリアルの設定も少し遠回りな方法でやらなければなりません。

 まずは適当にChem3Dなどで分子模型を作成し、pdbファイルで保存してblender側で読み込んでください。その後、右上の「(原子名)_mesh」と書かれた欄の三角形をクリックし、「(原子名)_ball」を表示させてください。右端のカメラマークの左隣をクリックし、もう一度「(原子名)_ball」の欄をクリックして選択状態にしてください。設定上、「(原子名)_ball」の状態が、表示されている、とある原子の状態を定めていますので、今選択している「(原子名)_ball」のマテリアルを変更することで全体の見た目を変化させます。例えるなら、川を色で染め上げたいなら河口に染料を流しても無駄で、やるなら源流で染料を流さなければならないというような感じです(不謹慎)。

 後は繰り返し作業で、すべての原子のballと結合のstickで同様の設定を行ってください。stickではcupとcylinderの2種類出てきますが、両方設定してください。

 今回はMaterial Libraryのwood boardsを、適当にpubchemから引っ張ってきた糖の縮合体の全原子・全結合に適用してみました。結果、木製の分子模型が出来上がりました。

 今回紹介した方法は、同じ分子内にあるすべての原子に一括でマテリアルを設定する方法です。ですので、ある部分だけを変化させることはできません。そのような場合はpdbファイルを作る前にchem3D内で分割し、それらを別々に読み込ませる必要があります。ちょっと面倒くさいですが、AtomicBlenderの仕様上仕方のない面ではあります。そういった細かい事情が無ければ便利なやり方です。例えば錯体で金属だけ金属のマテリアルを設定したり、発光させたりするとグッと目立つオリジナルの分子模型になるでしょう!ぜひ皆さんが思い思いの分子模型を作ってみてください!









 
 
 

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